ミツバチが謎の大量死?蜂群崩壊症候群について

ミツバチが謎の大量死をする、そんな出来事があるのをご存知でしょうか。それは蜂群崩壊症候群と呼ばれており、ミツバチの社会だけではなく人間にまで影響をもたらす最悪な出来事です。

それでは、なぜミツバチは大量死してしまうのか、そしてその大量死の影響はどのようなものなのか、確認していきましょう。

蜂群崩壊症候群の原因とは

ミツバチが忽然と姿を消す蜂群崩壊症候群

今まで存在していたミツバチたちが、徐々に居なくなり、結果的に大量のミツバチが失踪している。これが蜂群崩壊症候群と呼ばれている現象です。

この現象は、アメリカで観測されてから、ヨーロッパ諸国でも同様の現象が見られています。さらにその他の国にも同じようにミツバチが姿を消すことがあり、私たちが住むこの日本でも、蜂群崩壊症候群であると推測されるような出来事もあったという報告があります。

忽然とミツバチが姿を消すこの現象は、ミツバチ界のミステリーだと言えるでしょう。

原因についての仮説は多々ある

それでは、蜂群崩壊症候群はなぜ起こるのか。実はその原因として考えられている事柄は、一つではなく複数あります。そして、その全てが断定できるようなものではないため、仮説止まりであることが特徴です。

仮説として考えられている原因としては、病原菌による感染、ミツバチの栄養失調、強力な作用を持つ殺虫剤の影響、遺伝子組み換え作物からの影響、ミツバチヘギイダニやアカリンダニによる寄生等があります。しかし、あくまでも仮説の範囲であり、このどれが中核的な原因なのかははっきりとしていません。

明確な原因が分かっていれば、対処法もはっきりします。しかし、原因がわからないからこそ、対処することが困難なのです。

農薬が原因である可能性が高い

先述した蜂群崩壊症候群の原因と考えられている仮説の中で、現在一番可能性が高い仮説であるとされているのが、強力な農薬の使用です。

大規模な農園等では、害虫からの影響を防ぐために非常に効果の高い農薬を使用することがあります。この農薬が、害虫ではないミツバチにも悪影響を与えてしまい、結果としてコロニーの崩壊へと発展してしまうという仮説です。

農薬の成分としては、イミダクロプリドやアセタミプリドなどのネオニコチノイド系と呼ばれるものがそれにあたります。これらの農薬と蜂群崩壊症候群には何らかの関係があるという研究結果が報告されています。ただし、蜂群崩壊症候群は農薬だけが発生原因と断定されたわけではありません。

蜂群崩壊症候群が与える影響

依存関係にある植物への影響

ミツバチは、蜜を運ぶと同時に、植物の花粉の運搬も行って受粉を助けるという役割を持っています。そのため、植物の中には完全に受粉をミツバチに頼ってしまっているような相互依存関係にある種類も多くいるのです。

蜂群崩壊症候群によってミツバチが失踪してしまうと、受粉を媒介してくれる存在が居なくなるので、これらの作物は受粉できずに子孫を残すことができません。

そのため、ミツバチが居なくなってしまうことは、依存関係にある植物にとっても種を途絶えさせてしまう程に悪影響があることなのです。

生態系への影響

この世の中は、ミツバチと植物という依存関係だけではなく、全ての生物が食物連鎖や共存関係などを作ることによって維持されています。ですので、一つの生物が存在しなくなると、その関係性が崩れてしまい、生態系へ大きな影響を与えることになります。

例えば、ミツバチが受粉をしなくなることによって植物が育たず、その植物を食べる動物の餌が無くなることで飢餓が起きます。また、ミツバチを捕食する虫や動物も、餌となる対象が居なくなるため同様に飢餓が起こることが推測できます。

ミツバチという一つの種類ではありますが、それが居なくなってしまうだけで、地球全体の生態系が崩れてしまうのです。

人間社会の重大な損失にもなる

ミツバチが居なくなることによって、全ての動植物に影響が出てきます。それこには、他ならぬ人間も含まれています

まず、ミツバチが作るハチミツが無くなります。さらに、ハチミツが受粉を媒介する植物も育たなくなるため、食料が極端に減ってしまいます。これらによって、経済的損失が生まれるのはもちろん、人類全体も食料危機に陥ってしまうのです。

ミツバチが居なくなることは、私たちの命の損失にも繋がることがわかります。これは重大な問題だと言えるでしょう。

まとめ

蜂群崩壊症候群は明確な原因が分かっていないものではあるものの、それが起こる背景には、人間の責任であることは間違いありません。

ミツバチが居なくなることで被害を受けるのは、他の生物だけではなく、私たち自身でもあります。ですので、人間社会を守るという上でも、私たち人間はミツバチを保全していく努力を行っていかなければなりません。

なく女王様である女王蜂です。そう、ミツバチは女性によって統治されているのです。

女王蜂は巣の中で一匹しかおらず、その他のミツバチはもちろん、オスのミツバチでも代理でその役割を努めることはできません。ですので、ミツバチのコロニーの中では、かなり貴重で重大な存在となります。

人間の社会では、女王様に統治されている国もありますが、多くの国は男性がトップになっているケースが多いです。それと比較すると、ミツバチの世界での女性の地位の高さは著しいものであると見ることができます。

働き蜂の全てが女性

ミツバチの社会は、女王蜂という女性のトップによって統治されているという事実よりも驚くべき事柄があります。それは、花の蜜などを集めたり巣を作ったりしている働き蜂もまた、全てが女性であるという点です。

偏見の入った価値観で見ていると、働くことは男性であるというイメージを持ってしまいがちです。しかし、外を飛び回っているミツバチは全て女性です。女性の蜂が、ミツバチの社会のほとんどを支えているのです。

つまり、トップが女性ならばその下に使える働き蜂も女性という、完全な女性社会を構成しています。ここまでくると、ミツバチの社会での女性の権威の占める割合は、計り知れないものだと言えるでしょう。

オスのミツバチはぐうたらしているの?

オスバチは基本的には働かない

先述した通り、働き蜂は全てが女性のメスバチです。このような話を聞くと、ミツバチの社会にはオスバチは存在していないのか?と錯覚してしまいそうになりますよね。しかし、オスバチもしっかりと存在しています。

ですが、オスバチは働き蜂のように基本的には全く働きません。巣の中でただ食べ物を摂取してうろちょろとしているだけです。ちょっと悪い表現をすると、女性に頼って生きる、いわゆるヒモのような状態と言い換えられます。

このようなオスの行動を見ていると、あたかもぐうたらしているだけのような存在のように思えてしまいます。

生殖活動を行うため、決してぐうたらしているわけではない

オスのミツバチは、女性に頼るだけで何の役割も果たさずにぐうたらと生きていくだけの存在なのでしょうか。いいえ、そうではありません。オスバチには、生殖活動を行うという重大な使命が課せられています。

発情期になるまでのオスは仕事をしませんが、発情期になれば、女王蜂とオスバチが空中に飛び出します。そして空中で交尾をします。

交尾を終えたオスバチは、生殖器を女王蜂の中に残し、そのまま命を落とします。オスバチは仕事をしないように見えますが、命がけで次の生命を残すという重大な仕事を行う役割を全うしてくれているのです。

役割分担が明確なミツバチの世界

女王蜂、オスバチ、働き蜂という明確な役割区分

ミツバチの世界は、役割が明確に分けられています。それは、非常に合理的であると言わざるを得ません。その明確な役割分担として、先述した内容にもありますが、女王蜂とオスバチと働き蜂の三つの区分があります。

女王蜂は産卵だけを行う役割を持ち、オスバチは女王蜂に精子を与える役割、そして働き蜂は蜂の社会を維持するために必要な仕事をするという役割を持っています。

もしも女王蜂が働いてしまうと効率の良い産卵ができませんし、当然メスである働き蜂は女王蜂に精子を提供できません。このように、合理的な役割分担が効率的な社会を作ることで、安定した繁殖を行えていると考えられます。

働き蜂の仕事は熟練度によって変わる

産卵や生殖行為以外の仕事を行っている働き蜂にも、その仕事に役割分担がなされています。そして、その分担は、仕事の熟練度によって変わってきます。

働き蜂が成虫になったばかりの頃は、比較的簡単な仕事である蜂の巣の掃除から始まり、幼虫や女王蜂の世話などの仕事を行います。そして、成長をすれば、外に出て花の蜜を集めたり花粉を収集したりといった仕事を任されるようになるのです。

また、何らかの事情で掃除係や幼虫の世話係が居なくなれば、成長した働き蜂がそのポジションのフォローに入ることもあるため、上手な連携プレーがなされているとも見ることができます。

まとめ

ミツバチの社会は女性が中心となり、そしてとても効率的なシステムによって動いています。

女性のミツバチの強さ、そしてその合理性が、ミツバチが今まで子孫を残して来られた強さだと言えるかもしれません。