ハチミツと養蜂の歴史

ハチミツと養蜂の歴史

ハチミツは蜂を育ててる「養蜂」を行うことが重要です。いわば、ハチミツ作りはいかにして蜂を育てられるかが重要だと言っても良いでしょう。

そんな養蜂、実はとても歴史が深いことをご存知でしょうか。知れば知るほど奥が深い、ハチミツと養蜂の歴史について解説していきましょう。

養蜂の始まり:古代から近代についての歴史

かのアリストテレスは養蜂のパイオニア

ハチミツを食べるだけではなく、蜂を育てることによってハチミツを採取する方法が本格的に取り組まれるようになってきたのは、紀元前4世紀頃です。

この時代に生きていた、ギリシアのアリストテレスという有名な哲学者を中心に、ハチの生態が科学的に分析されるようになりました。そしてその知識を元にして、養蜂というシステムを確立していく動きになったのです。

しかし、この時代の養蜂はまだ現代のようなものではなく、自然にできている蜂の巣やその一部を採取して、それを人為的に育成する方法などが主流でした。この時代に、養蜂という職業は十分な稼ぎのできるものとして地位を確立しています。

養蜂箱が取り入れられたローマ時代の養蜂

時は流れてローマ時代になると、その養蜂のシステムもより専門的になり、効率的なハチの育成とハチミツの採取ができるようになってきています。

この時代の養蜂において特筆すべきなのが、養蜂箱の登場でしょう。ハチは狭いところが好きであり、そこに巣を作るという習性を知った人々は、人工的な狭い空間である養蜂箱を用いてそこでハチを育てることができるようになりました。

ローマ時代の養蜂箱を使った養蜂は、現代の養蜂の雛形にもなっていると言えるでしょう。このシステムはローマの域を越えて広がっていきます。

近代養蜂の確立

従来の養蜂技術であれば、ミツバチを育てるということはできても、ハチミツを採取する際にはその巣を壊してしまわなければなりませんでした。そのため、非効率的であり損失が大きいことが問題点たっだのです。

しかし、その問題点を解消する方法が登場したのが、時代がさらに流れた1800年代のこと。アメリカのラングストロスという人が発表した養蜂の手法がとても効率的であり、近代養蜂を確立したと言われています。

その方法の中には、遠心分離機によるハチミツの採取や、可動できるタイプの養蜂箱などといった現代の養蜂でも中心的な技法も含まれていました。

現代のハチミツ・養蜂事情

養蜂は都会の中でも行われている

現代になり、ハチミツや養蜂の事情も古代や近代とは変わってきています。その変わってきたと言える一つとして、都会でも養蜂が行われるようになったということがあるでしょう。

養蜂はハチがその蜜を得るため、花をつけるような植物が必要です。その植物は自然の多い場所にしか無いと思われがちですが、実は都会にも多くの花をつける植物が育っています。ですので、都会でも養蜂が可能なのです。

都会でも養蜂ができるということがわかってから、ビルの屋上などに養蜂箱を設置し、ハチミツ採取を行っている養蜂家が増えてきています。

農薬などが養蜂の障害に

現代の養蜂において、問題とされているのがハチへの農薬の影響です。この影響によって、ハチは方向感覚がおかしくなるなどして、不自然な死を遂げることが知られています。

農薬がなぜハチに影響をするのか。それは、農家などが農作物を効率よく育てるために、ネオニコチノイド系の威力の強い農薬を使用していることがあるからです。このような農薬によるミツバチへの影響は、アメリカで多く見られています。

人間にとって効率の良い方法が、ハチにとっては障害となり、そして養蜂の質を下げているという事実は深く考えなければならない部分でしょう。

日本では養蜂振興法が定められた

現代の養蜂事情は、環境問題や社会情勢などの背景なども含めた上で考えていかなければなりません。そのようなことを踏まえて、日本では養蜂振興法が定められました。

この法律の中には、養蜂業をするための申請や、適切なハチの管理についてなどが定められています。この規定については、日本国内の養蜂業の質を高める狙いがあります。

養蜂は私たちの生活に欠かせないものであるため、単純に養蜂の技術の向上だけではなく、社会的における養蜂のシステムの整備ということも必要です。それを日本で具現化したのが、養蜂振興法だと言えます。

まとめ

人間と養蜂の歴史はとても深く、いつの時代も人にとって養蜂から生産されるハチミツは重宝される存在として扱われてきました。そして現代でも、法律が定められるなどして、社会的にも養蜂は大切なものだと認識されています。

しかし、これからの養蜂の未来を明るくするためには、ハチは生き物であり農薬などの環境に悪い要素から影響を受けているなどの問題にも、目を向けなければならないでしょう。