ミツバチの巣:機能性の高さにびっくり

ミツバチの巣:機能性の高さにびっくり

ミツバチの住処となる巣は、精密に作られているだけではなく、そこに住むミツバチや幼虫たちが快適に過ごせるような機能がたくさんついています。

その機能性の高さにびっくりするような、ミツバチの巣についての解説をしていきましょう。

ミツバチの巣は天然のエアコンがついている?

巣の中は一定の温度に保たれている

ミツバチの巣の温度は、変化しないようになっています。あたかもそれは、天然のエアコンが巣についていると言っても過言ではないでしょう。

巣の温度は、一般的に35度であるということが知られています。なぜこの温度に保つのかというと、ミツバチは幼虫の間は恒温動物であるため、寒すぎたり暑すぎたりすると温度変化によって死んでしまうことがあるからです。

そのため、ミツバチの巣は子供を守るために、様々な工夫によって温度を一定に保つようになっています。

温度調整のためのミツバチの努力

ミツバチの巣に天然のエアコンがついていると言っても、自動的に気温が下がる機能がついているわけではありません。一定の温度調節には、巣の構造だけではなく、働きバチ達の涙ぐましい努力があります。

まず、温度が高くなってしまった時には、巣の中にある巣房という場所に働き蜂が水を溜めます。そして、働き蜂が羽で仰ぐことによって、巣の中の熱を発散させるようにします。

次に温度が低くなってしまった時は、ミツバチが筋肉を動かすことによって代謝熱を発生させ、その熱で巣を温めるようになります。

巣の造りと働き蜂の活躍が、蜂の巣の中は快適な温度を維持するためのエアコンになっていると言えるでしょう。

ハニカム構造について

とても合理的なハニカム構造

ミツバチの巣の代名詞としても使われるのが、ハニカム構造です。これは六角形がいくつも連なった構造のことを指します。そして、このハニカム構造はとても合理的な構造です。

一つの平面を隙間なく埋める図形は、この宇宙の中で三角形と四角形と六角形しかありません。そして、この図形の中で最も図形一周の長さが短いのが、六角形です。このことから、ハニカム構造は空間の無駄を作らず、なおかつ少ない材料で作ることができます。

蜂の巣は何の意味もなく六角形になっているのではなく、非常に緻密な計算をされた上で作られていると考えられます。

強度も強いのが特徴

ハニカム構造は空間を有効に使えるというだけではなく、強度も高いという特徴を持っているのも魅力的な部分です。

ある一方から圧力がかかった場合、四角形であれば縦横に揺らいでしまいますし、三角形であれば左右上下が非対称であることから力がうまく分散しません。その点、ハニカム構造の六角形であれば、左右上下が対照的であり、なおかつ円に近い形状なので、かかってきた圧力が分散します。

蜂の巣は働き蜂だけではなく、女王蜂から幼虫までが暮らす大切な家です。それを守らなければならないからこそ、巣はハニカム構造の強力な形状としていると考えられます。

間取りもしっかりと作られている

蜂の巣の中は大まかな部屋に分かれている

蜂の巣というと、ハニカム構造で六角形に細かく区切られているだけだというイメージを持たれているかもしれません。しかし、同じように見えながらも、実は大まかに役割が違う部屋に分かれています。

その区切りとしては、働き蜂の幼虫を育てる育児域、オスバチの生育場所、女王蜂が育つ場所である王台、そしてハチミツや花粉などを収納するための貯蔵域や花粉域です。スペースによって巣をカテゴリ分けすることによって、機能的な巣の使い方ができています。

このような蜂の巣の使い方も、ミツバチが効率性の高い動きをする動物であることを証明しています。

状況に応じて王台が作られる

一度完成した蜂の巣は、そこで巣の成長が終わるというわけではありません。ミツバチの巣は状況に応じて王台が増築できる態勢となっています。

王台の増築を行う一番の理由としては、女王蜂の進退がある時です。ミツバチの巣には必ず一匹、女王蜂が存在していなければなりません。そのため、個体数が増えて分蜂をする時や、既存の女王蜂が衰退したり死去した場合、新しい女王蜂を育てるために王台が作られます。

王台が作られる数は一つではなく、多い時であれば10個以上のものが作られます。そして、複数の王台で新たな女王蜂の誕生を待つようになります。

まとめ

ミツバチに知能は無いと考えられていますが、その巣の構造や機能性から推測すると、非常に高い知能や計算能力があることを認めざるを得ません。それだけびっくりするような巣の造りなのです。

私たちの身の回りの便利な製品の中には、ミツバチの巣の構造を真似て出来たものも多くあります。それゆえに、ミツバチの巣に使われている知識や技術は、私たち人間にとっても欠かせないものであるとも言えます。